「福」という文字は、穏やかで、ほのぼのした感じで、いかにもめでたいといったイメージを醸し出していますが、実は、その文字の中には、強力なパワーが込められています。
通常、福といえば、「幸運(ラッキー)」ですが、福は、単に幸運だけを意味するものではありません。
福という文字は、幸運や幸せを始めとして、富と繁栄、成功など、満願成就の、私たちが望むありとあらゆる願いを叶えるための運気をそのたったひとつの文字に取り込んで持っています。
福の文字は、一文字にたくさんの運気が詰まっていますから、他の文字と違い、力強いエネルギーを放ちます。
「福」は願いを叶えるために、是非とも活用したい一文字です。
【福の成り立ち】
『福』の「へん」を「しめすへん」と言います。現代ではカタカナの「ネ」で表記されますが、「しめすへん」ですから、本来は「示」から成ります。
この「示」は、神様をお祀りする祭壇の形を表しています。右の「つくり」の部分は、神様に捧げるためのお酒がなみなみと注がれた壷で、輪郭としては徳利の形を想像するとわかりやすいでしょう。
もちろん、神様にお供えするものはお酒だけではなく、「田」の字がありますから、御米をはじめとする穀物や、さまざまな品物も含まれています。
祭壇とお供えものによる「神の恵みが豊かなこと」と、幸せで恵まれた状態のことを表しているのが『福』なのです。
「福」は頭上から舞い降りてくる
中華圏に行った時や中華料理店などで、福の文字が逆さに貼られているのをみたことがある人は多いと思います。
これは「逆さ福」といって、倒すの「倒」と到達の「到」が同じ発音で、福を逆さに「倒す」ことで自分のもとへ福が「到達」する『福到了(フーダオラ)』を表現しています。
また、福は天からの贈りものであるということから、天空から自分の頭上に福が降ってくるよう願って、福が降ってくる様子を表現して逆さまに貼るのです。福はいつも笑顔が絶えない人の下に舞い降りてきます。
【天下第一福】
漢字には、象形文字のような福、読みやすい明朝体の福など、様々な字体による表現方法があります。
中国・清の第4代皇帝である康熙皇帝は、それまで地域により異なっていた様々な漢字、読み、筆順などを、歴代の字書の集大成として編纂した「康熙字典」を完成させました。
その康熙皇帝が揮毫したのが「天下第一福」です。
この、流れるような文字で表わされた「福」の中には、「才」「寿」「子」「田」という文字が散りばめられています。
それぞれに多才、多寿、多子、多田という意味があります。
多才…あらゆる才能に恵まれ、成功を手にする
多田…土地や食べ物などに恵まれ、発展を遂げる
多子…子宝に恵まれ子々孫々繁栄する
多寿…長く天寿を全うする
「天下第一福」は、人としての幸せがふんだんに詰め込まれ「多福」となる、たいへんおめでたい漢字なのです。
「福」は宿るもの
福を自らの手で呼び込むには、いつも明るく、笑顔でいることを心がけること。
福は、笑顔や笑い声が絶えない人や家に宿り、繁栄をもたらしてくれます。
福は、愚痴をこぼす人、悲観的な人、マイナス思考の人の下にはやってきません。
気(エネルギー)は、同じ気を持つ者同士が引き付け合う特性を持っていますので、福の掛け軸やポスターを貼って、部屋中に福の気を満たします。
たくさんの福を呼び込むために、100通りもの福の字を集めた「百福図」というものもあります。
「福」を呼び込む
福の文字を飾るのに適している場所は、気(エネルギー)の入口である玄関、部屋の入口、リビングなど、福を呼び込みたい場所です。
適していない場所は、トイレ、お風呂場、洗面所などの水場で、せっかく呼び込んだ福を流してしまいます。
住まいの鑑定をお願いした風水師から『ここに福のポスターを貼るように』と指示されたとのことで、キッチンのシンクの壁に福を貼っていたという依頼者がいましたが、上記の理由からすぐに外すようアドバイスしたこともあります。
「風水師」は「名乗れば誰でも風水師」となり得る存在ですので、風水相談・風水鑑定は信頼の於ける機関や人物を頼るように気を付けて下さい。
「福」は、人生すべての様々な幸せが詰め込まれています。「福」を上手に活用して更なる福を呼び込んでください。